最新エビデンスEPAの筋肉痛・筋損傷緩和効果

EPA摂取8週間後に伸張性収縮と呼ばれる運動負荷によって筋肉痛・筋損傷を起こし、その後5日間に渡り状態を観察した試験では、EPAを摂取したグループは、摂取していないグループと比べて、筋肉痛の痛みレベルが大きく軽減し、筋肉痛からの回復が早まることが分かりました。
また負荷により低下する最大筋力を測定したところ、EPAを摂取することで筋力の低下を和らげ回復を早めるという結果が出ました。
更に負荷により制限される関節可動域を測定したところ、EPAを摂取することで関節可動域を維持するという結果が得られました。

EPAにより筋肉痛の痛みレベルが軽減

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遅発性筋痛(VAS)の測定
遅発性筋痛(VAS)の測定

EPAが最大筋力の低下を和らげ、回復を早期化

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肘関節を90°に固定した状態で最大努力の筋力を測定
肘関節を90°に固定した状態で
最大努力の筋力を測定

EPAで関節可動域を維持

EPAで関節可動域を維持クリックで拡大
関節可動域の測定
関節可動域の測定

試験内容

被験者
24名の大学生男子
摂取内容
魚油群(n=12):
EPA 600mg/日, DHA 260mg/日
プラセボ群(n=12):コーン油
摂取期間
8週間+測定期間(5日間)
エクササイズ内容
等速性収縮負荷装置を用いて1セット6回の
最大努力による伸張性収縮を5セットを行った。
その後5日間に渡り測定を行った。

EPAで筋神経損傷を抑制、筋柔軟性を維持

筋周囲には下図のように神経が通っており、筋肉の収縮などの働きに関わっています。
筋周辺神経の損傷は、筋肉痛の原因の1つとも考えられており、筋肉の機能低下に関与している可能性があります。筋神経損傷の程度の検証には、電気刺激による神経伝達時間を測定する方法が使われています。損傷した筋神経は、電気刺激の伝達時間が延長します。

EPA摂取8週間後に、ダンベルを用いて伸張性収縮と呼ばれる運動負荷によって上腕筋に筋損傷を起こし、その後5日間に渡り状態を観察した試験では、EPAを摂取したグループは、摂取していないグループよりも、負荷後の神経伝達時間が短いことが示されたため、筋神経損傷が抑制されるという結果が得られました。

つまり、EPAは筋神経の損傷に対しても保護作用を示し、筋肉痛を緩和する可能性が考えられます。

試験内容

被験者
21名の大学生男子
摂取内容
魚油群(n=10):
EPA 600mg/日, DHA 260mg/日
プラセボ群(n=11):コーン油
摂取期間
8週間+測定期間(5日間)
エクササイズ内容
ダンベルを用いて1セット10回の
最大努力による伸張性収縮を6セット行った。
その後5日間に渡り評価を行った。

筋柔軟性は近年測定方法が確立されつつありスポーツ界で注目されています。1)
「筋柔軟性」というと一般的には「筋肉を押し込んだ際の凹みやすさ」を考えますが、スポーツの場面で必要とされる筋柔軟性は、筋肉の「伸び縮みしやすさ」としての「軟らかさ(柔軟性)」です。
身体運動を行う時、筋肉は矢印方向に伸び縮みするため、筋肉の機能を評価する上では筋肉の「伸び縮みしやすさ」としての柔軟性を測定することが重要です。
筋柔軟性の向上は運動パフォーマンスの維持や、運動による怪我を防ぐ効果2)が期待できます。

EPA摂取8週間後にダンベルを用いて伸張性収縮と呼ばれる運動負荷によって上腕筋に筋損傷を起こし、その後5日間に渡り状態を観察した試験では、EPAを摂取したグループは、摂取していないグループと比べて筋柔軟性を維持するという結果が得られました。

つまりEPAにより筋肉が柔軟に維持され、運動パフォーマンスの維持や運動によるケガを防ぐ効果が期待できます。

1) Sportsmedicine 166 (2014)2) Med Sci Sports Exerc. 51(1) 19–26 (2019)

試験内容

被験者
16名の大学生男子
摂取内容
魚油群(n=8):
EPA 600mg/日, DHA 260mg/日
プラセボ群(n=8):コーン油
摂取期間
8週間+測定期間(5日間)
エクササイズ内容
ダンベルを用いて1セット10回の
最大努力による伸張性収縮を6セット行った。
その後5日間に渡り評価を行った。

筋肉痛・筋損傷とは?

筋肉痛(遅発性筋痛)は、運動後1〜3日で痛みのピーク、5〜7日で痛みがなくなるとされています。
筋肉痛は、伸張性収縮負荷といった運動による負荷が与えられることで、筋肉に微細な損傷が起きます。そして、その損傷を修復するために炎症が惹起され、血中IL-6やTNF-aといった炎症性サイトカインが増えることによって、痛みが起きることが分かっています。

損傷 筋繊維の微細な損傷→炎症→痛み

EPAの筋肉痛・筋損傷緩和メカニズム

EPAが筋肉の損傷を抑え、
また筋損傷による炎症を抑える

運動負荷24時間、48時間後において、筋損傷の血中マーカーであるミオグロビン(Mb)、クレアチニンキナーゼ(CK)が上昇しましたが、EPAを摂取したグループはこの上昇を有意に抑制することがわかりました。このことは、EPAが筋肉の細胞の膜に入り込み、筋肉を保護し、筋肉の損傷を抑える働きがあるのではないかと推測することができます。

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運動負荷後に上昇するIL-6やTNF-aといった炎症性サイトカインにおいても、EPAを摂取することで有意に抑制することが分かりました。
EPAには抗炎症効果があることが分かっており、筋損傷による炎症についても抑える効果が見られたのではないかと考えることができます。

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試験内容

被験者
30名の成人男性
摂取内容
魚油群(n=8):
EPA 600mg/日, DHA 260mg/日
プラセボ群(n=8):コーン油
摂取期間
30日間
エクササイズ内容
40分間のベンチステッピング(台の昇り降り)を
実施した(5分間運動・1分間休憩を7セット)

EPAを摂取することで、運動負荷による筋肉の損傷そのものを防ぐこと、また筋肉の損傷によって引き起こされる炎症反応を抑える抗炎症効果がみられました。この両方の効果によって、筋肉の損傷や筋肉痛を抑えることができるというメカニズムが推測できます。

損傷 炎症 痛み

EPAで筋疲労への効果も報告

EPA摂取8週間後に、等速性筋力測定装置を用いて一定の条件で短縮性収縮と呼ばれる運動負荷をかけ上腕筋に筋疲労を起こした試験では、EPAを摂取したグループは、摂取していないグループと比べて筋パフォーマンスが維持されるという結果が得られました。

*筋疲労とは、運動によって引き起こされる筋力や筋仕事量を最大限に発揮する能力の低下のこと
筋パフォーマンスを維持クリックで拡大
関節可動域の測定
筋仕事量とは:
1回の短縮性収縮の際に発揮される筋力と筋力が継続された時間との積算値を仕事量とする。

試験内容

被験者
16名の大学生男子
摂取内容
魚油群(n=8):
EPA 600mg/日, DHA 260mg/日
プラセボ群(n=8):コーン油
摂取期間
8週間+測定期間(2日間)
エクササイズ内容
等速性筋力測定装置を用いて1セット6回の
最大努力による短縮性収縮を5セット行った。

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